請求書管理の方法は?注意点や請求書管理システムを選ぶ際のポイント

請求書管理の方法は?注意点や請求書管理システムを選ぶ際のポイント

請求書は会社の入出金に関わる重要な書類です。請求書を適切に管理していなかったばかりに、支払いや請求にミスが発生してしまうと、会社の信用や売上に大きな影響を及ぼしてしまいます。請求書の正しい管理方法を知ることは、経理業務の基本ともいえるでしょう。
ここでは、請求書の受取側、発行側それぞれの適切な管理方法や、請求書を管理する上での注意点を解説。また煩雑になりがちな請求書管理業務をシステムを活用して効率化するメリットも紹介します。

請求書の管理が必要な理由

請求書とは、法人や個人事業主にとって必要な会計書類のひとつです。売り手が買い手に対して商品やサービスの料金支払いを要求するために発行する書類で、領収書や納品書などとともに、取引の証拠となる「証憑書類」として扱われます。取引に関する支払いは基本的に請求書にもとづいて行われるため、適切な管理が欠かせません。
また、法人でも個人事業主でも、請求書を受領または発行した際には一定期間の保存が必要です。請求書の保存については法人税法や消費税法、所得税法などで定められており、法人と個人事業主では保存期間が異なります。いずれにしても長期間の保存が義務づけられているため、紛失や破損などがないように管理体制を整えなければなりません。

請求書を受け取った場合の管理方法

取引先から受け取った請求書は、「未払い」と「支払済み」に分けて管理することが大切です。両者をいっしょにしてしまうと、どれが支払済みの請求書なのかがわからなくなり、支払いの漏れや二重払いの原因になります。ミスを防ぐためにも、基本的には以下の手順に沿って管理するのがおすすめです。

1. 届いた請求書を「未確認の請求書」として管理

取引先から請求書が届いたら、いったん「未確認の請求書」として管理します。未確認分のファイルやボックスを用意しておくのがおすすめです。

2. 内容を確認し「確認済みの請求書」として管理

請求書の内容を確認し、日付や項目、金額などに間違いがないかどうかをチェックします。記載内容に問題がなければ、「確認済みの請求書」として、未確認分とは別に管理しましょう。

3. 支払いを行い「支払済みの請求書」として管理・保管

確認が済んだ各請求書の支払期日が来たら支払いを行います。支払いが完了したものは「支払済みの請求書」として管理・保管し、二重払いのないようにすることが大切です。なお、支払済み請求書は、「月別」または「取引先別」に保管するのが一般的です。それぞれメリットとデメリットがあるため、自社に合った方法を選択するのをおすすめします。
月別、取引先別のそれぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。

・月別に管理するメリットとデメリット
請求書を月別で管理すると、毎月の支出額を正確に把握しやすくなるのがメリットです。しかし一方で、特定の取引先の請求書を探したい場合には手間がかかることが考えられます。

・取引先別に管理するメリットとデメリット
取引先別に請求書を管理していると、取引先ごとに支払状況を把握でき、特定の取引先の請求書も探しやすくなります。ただし、月単位での支出額を把握しづらい、取引先が多いと分類が細かくなるといったデメリットもあるので注意が必要です。

請求書を発行した場合の管理方法

自社が発行した請求書については、原本は取引先に送るため、実際に管理・保管するのは請求書の控え(写し)になります。自社発行の請求書は、「未入金」と「入金済み」のステップに分けて管理しましょう。

1. 支払期日まで「未入金の請求書」として管理

自社が発行した請求書は、支払期日が到来するまで「未入金の請求書」として管理します。後日入金確認をスムーズに行うためには、支払期日の早い順に整理しておくのがおすすめです。

2. 入金確認後「入金済みの請求書」として管理・保管

支払期日になったら、取引先からの入金を確認します。入金されたことを確認したら、「入金済みの請求書」として管理・保管して下さい。入金済み請求書も、受領時と同様に、月別で管理する方法と取引先別で管理する方法があります。なお、入金期日を過ぎても取引先より入金がない場合は、請求書の送り漏れがないか、記載項目にミスがないかを確認し、取引先または社内の担当者に連絡しましょう。

請求書の保存期間

請求書の保存期間は、法人税法や消費税法、所得税法といった法律によって定められています。法人と個人事業主では必要な保存期間が異なるため、しっかり確認しておきましょう。

法人の場合は基本7年、10年保存できると確実

法人税法において、請求書や注文書、契約書、領収書、見積書、納品書といった取引関連書類について、7年間の保存を義務づけられています。この保存期間は、請求書などの発行日または受領日から7年間ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間なので注意して下さい。
なお、赤字を翌年以降に繰り越せる「欠損金の繰越控除」を適用する場合は、「事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から10年間」の保存が必要となります。そのため、法人の請求書の保存期間は10年と考えておけば安心です。

個人事業主の場合は5年、消費税課税事業者は7年

個人事業主の場合、請求書をはじめとする取引関連書類の保存期間は、所得税法によって定められています。保存期間は、青色申告・白色申告ともに5年間です。ただし、個人事業主のうち、消費税の申告・納付義務のある課税事業者の場合は、消費税法によって7年間の保存が義務づけられています。個人事業主であっても、前々年度の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者となり、請求書の保存期間は7年間となります。インボイス制度に伴い、適格請求書発行事業者の登録を受けるために課税事業者になった場合も同様です。

請求書の控えの保存義務

取引先から受領した請求書は原本であるため、そのまま保存することになります。では、請求書を発行した場合は、控え(写し)を作成・保存する義務はあるのでしょうか。
結論からいうと、自社が発行する請求書に関して、法的には控えの作成義務はありません。しかし、控えがないと取引の証拠が手元に残らないことになるため、実際には控えを作成するケースがほとんどでしょう。取引の証拠や記録を残すために請求書の控えを作成したのであれば、その控えに対して、受領した請求書と同様に保存義務が生じます。
なお、2023年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)においては、「適格請求書発行事業者」に対して、適格請求書(インボイス)の控えの作成・保存が義務化されます。適格請求書は、7年間の保存が必要です。7年間の起算日は、適格請求書を交付・受領した事業年度における確定申告書の提出期限の翌日となります。取引先から受け取った適格請求書に関しても、保存期間は同様です。

表計算ソフトで管理する際の課題

請求書の管理に、Microsoft Excelなどの表計算ソフトを使用している企業も多いかもしれません。表計算ソフトは項目などの設定の自由度が高いため、形式の異なるさまざまな請求書データの管理に対応できます。しかし、表計算ソフトでの請求書管理には、いくつかの課題があるため注意が必要です。

ファイル数や容量が大きくなると管理が難しくなる

表計算ソフトを使用する場合、ファイル数や容量が大きくなると管理が難しくなるという課題があります。前述のとおり、請求書は最低でも個人事業主なら5年、法人なら7年の保存期間が必要です。それだけ長い期間に発生した請求書を1つのデータで管理すると、容量が非常に大きくなり、処理速度が落ちてしまいます。請求書のやりとりは取引のたびに発生するため、取引先や案件が多くなれば、それだけ表計算ソフトでの管理も難しくなってくるでしょう。また、過去の請求書の内容を確認したいときも、必要なデータを探すのに時間がかかってしまうという課題もあります。

データの共有や管理が難しい

Microsoft Excelなどの表計算ソフトを用いたデータ共有には、いくつかの課題があります。まず、表計算ソフトで管理されている請求書のデータを複数人の担当者で共有すると、誤って上書きしたり削除したりするなどのミスが起こりやすくなるという課題です。データの共有がうまくいかないと、二重払いや支払漏れなどの問題にもつながりかねません。
また、Microsoft Excelなどの表計算ソフトは、通常個人のパソコン上で管理されるもののため、チームでの作業が行いにくく、業務が属人化してしまうという課題も考えられます。属人化が進むと、Microsoft Excelの操作に慣れた担当者以外は使い方がわからず、担当者が異動や退社したときに業務が滞ってしまうリスクがあるため注意が必要です。

入力などのミスが起こる可能性がある

表計算ソフトでの請求書管理は、担当者が一つひとつの請求書のデータを手作業で入力することになるため、どうしてもミスや漏れのリスクが生じてしまうという課題もあります。請求書は入出金に関わる重要な書類であり、些細なミスが大きな問題に発展する可能性も否定できません。ミスを早期に発見するためのチェックなども必要になり、二重に手間がかかってしまいます。

請求書管理システムの導入で実現できることとは?

このようなMicrosoft Excelによる請求書管理で生じる課題を解決し、業務効率化を目指せるのが、請求書管理システムです。請求書管理システムの導入で実現できることについて紹介します。

人的ミスのリスクを低減できる

請求書管理システムでは、事前に入力した取引先の情報をもとに、請求書の作成・交付が自動で行えるため、誤請求や請求漏れといったリスクを防止することが可能です。さらに、請求書管理システムによっては、未請求と請求済みの件数がそれぞれ表示される機能もあります。未請求分が一目でわかるため、請求漏れといったリスクを防ぐことができるでしょう。

請求書管理業務の属人化を防げる

請求書管理システムでは、システム上でデータを公開・共有し複数の担当者での管理が可能なため、業務の属人化を避けることができます。さらに、クラウド型のシステムなら、インターネット環境さえあれば、会社以外の場所からでも作業が可能なため、リモートワークも行いやすくなるでしょう。

業務効率を向上できる

請求書管理システムは、請求データをもとにした請求内容の自動入力や、データによる請求書の発行、電子データでの請求書送付などができるため、煩雑になりがちな請求書業務の工数を削減し、業務の効率化が実現できます。また、作成した請求書などはデータ化して保存するため、過去の書類を確認したいときも簡単に検索が可能です。

請求書管理システムを活用して業務効率化を目指そう

請求書は、入出金に不備がないよう適切に管理すると同時に、定められた期間の保存が必要です。2023年10月から開始するインボイス制度によって、受領した適格請求書に加え、自社で発行した適格請求書の控えについても、作成・保存が義務化されます。請求書管理業務を効率化し、ミスなどのリスクを軽減させるには、請求書管理システムの導入を検討するのがおすすめです。

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