経費分析とは?必要性や分析のポイント、おすすめツールまでご紹介
ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化する現代において、経験則や感覚に頼らずデータに基づく戦略策定や意思決定を行う “データドリブン” の経営の重要性が高まっています。
こうした経営を実現するには、営業やマーケティングといったフロント/ミドルオフィスだけでなく、バックオフィスも含めた全社でデータ分析・活用の取り組みを進めていくことが重要です。
今回は企業の利益を決定づける重要な要素の一つ、「経費」の管理におけるデータ活用にフォーカスし、データをふまえた経費分析の必要性と方法から、重視すべきポイント、活用できるツールまで、基礎知識を詳しく解説します。
経費分析とは
経費分析とは、経費=事業を行うにあたって発生した費用のデータを収集して精査し、「どのような経費がどのように発生しているのか」を明らかにすることです。
この分析によって企業の支出や業務における課題を把握するとともに、改善に向けた示唆を得ることが、経営や事業の最適化に向けてより効果的な施策を見出す土台になります。
ビジネス環境が激しく変化する中で企業の利益を確保し、持続可能な成長を遂げていくために、経費分析の重要性は増していると言えます。
経費分析が必要な理由
経費分析は、企業が利益をあげ経営を維持していくための大切な課題の一つである「経費削減」を、効率的かつ適切に行うために重要な役割を担います。
経費分析を行うことで、削減しやすい項目・削減効果の大きい項目から順に効率的に経費削減を進めることができ、また無理な削減によって業務に支障をきたしたり、社員やお客様の満足度を低下させたりすることを防ぐ効果も期待できるのです。
さらに多様なデータをかけ合わせて見ることで、一件一件の経費精算/管理では見つけられなかった、現場業務にまつわる課題に気がつくことも。業務プロセスの最適化やガバナンスの強化などの改善活動を、経験則や感覚に頼らず根拠を持って行うための後押しとなります。
多角的な経費分析をするためのポイント
より効果的に経費分析を行うために、押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
1.時系列データをもとに経費を分析する
2.用途別に経費を分析する
3.商品・サービス別に経費を分析する
4.部署・従業員単位で経費を分析する
1.時系列データをもとに経費を分析する
直近の経費データだけに目を向けるのではなく、一定期間収集・蓄積したデータを時系列で追うことは、一時的・偶発的な経費とそうでないものを見分けて分析したり、時期による経費の変動を把握したりするのに役立ちます。
月ごと、季節ごとの変動を見るためには少なくとも1年分のデータを、年度ごとの比較を行う場合は2年分以上のデータを参照するとよいでしょう。
2.用途別に経費を分析する
大まかな分類である勘定科目(「通信費」など)ごとに見るだけでなく、用途(「インターネット回線使用料」など)ごとに確認や分析を行うことで、複数部署による同じ物品・サービスの購入に気づくなど、経費削減のヒントが見えやすくなります。
さらに細かく、購入された物品やサービスの種類・名称ごとに見ていくことで、「この用途において妥当な金額か」「他の物品やサービスへの置き換えで経費削減が可能か」といった気づきも得られます。
3.商品・サービス別に経費を分析する
自社で複数の商品やサービスを手がけている場合、商品やサービスを軸とした分析を行うのも効果的です。それぞれの商品・サービスにおける売上と経費のバランスを把握したり、過去の実績をふまえて的確なコストの見積りや無駄のない仕入れを行ったりすることに役立ちます。
4.部署・社員単位で経費を分析する
部署や社員ごとに経費を見ることで、「ある部署・社員は他と比べて大幅に支出が多い」など、一件一件の経費では見えづらい気づきも得やすくなります。こうした相対的な情報が、部署によって異なる経費申請・承認の “ゆるさ” や個人の不正を見つけて正す、といった改善に繋がり得ます。
データ分析で経理部門が利益に貢献するために必要なこと
“効率的かつ適切な経費削減” や “経営・業務課題の発見” によって経理部門が企業の利益に貢献するためには、以下の3点が重要となります。
1.業務を効率化する
2.適切な粒度のデータを蓄積する
3.データを活用してPDCAサイクルを回す
1.業務を効率化する
経費分析を十分に行うためには、まずは請求書処理や経費精算といった経理業務自体のあり方を見直して効率化を図り、分析にあてられる時間を生み出す必要があります。またデータの収集から加工、分析、レポート作成までをすべて手作業で行うには膨大な時間がかかるため、こうした経費分析にかかる作業についても効率化が欠かせません。
まずは、システムの活用によって経理領域の業務・データの一元管理や処理の自動化を行ったり、外部のパートナーに委託したりといった仕組みづくりが求められるでしょう。
2.適切な粒度のデータ蓄積する
データ分析において重要な要素の一つが、データの粒度=データの細かさの程度です。データを多角的に分析して的確な示唆を得るために、時間・用途・人/組織・業務・商品/サービスなどの軸で詳細なデータを蓄積しておくことが求められます。
細かいものを粗くすること(「社員単位で取得したデータから部署ごとの動きを見る」など)はできる一方、粗いものを細かくすること(「部署ごとのデータから社員単位の動きを見る」など)は難しいため、あらかじめ分析に必要なデータの粒度を見極めておくことが重要です。
3.データを活用してPDCAサイクルを回す
経費分析を目的とせず、経営や事業、業務の課題を改善するための手段として捉え、得られた情報や示唆をもとにPDCAサイクルを回すことが大切です。
【経費分析結果を活かした経費削減の例】
①分析結果から取り組むべき内容や優先度を判断し、削減計画と目標を立てる
②計画を実行し、進捗状況の確認や課題抽出を行う
③削減の効果や社員とその業務に与えた影響などを振り返って評価する
④ ③の結果をふまえて今後の取り組み方針を検討する
経費分析に役立つツール
経費分析の効率や効果を高めるために役立つツールをご紹介します。
Excel(エクセル)
膨大な量のデータ集計・分析をサポートするExcelの「ピボットテーブル」機能を使うことで、関数や数式の知識を使うことなくデータの分析やグラフ化などが行えます。
【良い点】
・すでにExcelを導入している企業の場合、追加コストをかけずに導入できる
・社員が操作に慣れている場合が多い
・テンプレートを作成することで作業を効率化できる
【留意すべき点】
・さまざまなソースから集めたデータの統合に、多くのコストと手間がかかる
・データの加工や手作業でのレポート作成に時間がかかり、タイムリーな情報共有が難しい
・データの誤入力/削除、ファイルコピーによる持ち出し・漏洩・紛失などのリスクがあるため、データの信頼性担保やセキュリティに注意が必要となる
SAP Concur
株式会社コンカーが提供する経費精算システム『SAP Concur』の分析レポート機能『Concur Business Intelligence』を活用することで、一元的な経費管理とデータの分析・可視化が行えます。
【良い点】
・会計システムだけでは難しい、詳細な経費データのダウンロード・統合ができる
・レポートへの日次データ連携や自動でのレポート更新によって、タイムリーな情報の可視化・共有ができる
・社員ごとに設定したロールをもとにアクセスや作成・編集などの権限を変更でき、データの信頼性を担保しやすい
【留意すべき点】
・導入と運用にコストがかかる
・導入し利用が浸透するまでに、周知や研修などのサポートが必要
【SAP Concurについて、詳しくはこちら】
まとめ
経費分析とは、経費=事業を行うにあたって発生した費用のデータを収集して精査し、「どのような経費がどのように発生しているのか」を明らかにすること。経験則や感覚に頼らない経営や事業の改善を行うために欠かせない業務です。
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