経費管理とは?必要性や方法、注意点まで徹底解説
企業の支出におけるムダを省くために、また透明性の高い経営や的確な経営判断を行うために、「経費管理」は大きな役割を果たします。
経費=事業を行うための費用は膨大な件数に及ぶことから、自社に合った管理方法を選択し、経費管理を取り巻くリスクを把握した上で迅速かつ効率的に管理を行うことが大切です。
今回は、管理の流れや方法から、適切な管理を行うために押さえておくべきポイントと注意点まで、経費管理の基礎知識について詳しく解説します。
経費管理とは
経費管理とは、企業や事業の運営を行うにあたって発生した費用を把握・調整することです。企業の支出を管理する、つまり利益を左右する重要な業務です。
用途や金額を明確にして「大切な資金がムダなく適切に利用されているか」「経費として計上すべきでない項目がないか」を確認し、正しく、漏れなく記録しておく必要があります。
【一般的な経費管理の流れ】
①物品やサービスの購入
社員が業務に必要な物品・サービスを購入します。小口現金(少額の支払いのためにあらかじめ用意された現金)を持ち出す場合もありますが、多くは社員が費用を立て替えます。
②経費申請
購入した社員は、立て替えた分の精算を申請します。発生した経費が業務のために必要であることの説明や、購入の証拠となる領収書を示すことなどが求められます。
③上長による確認(承認/差戻し)
申請された経費が業務に必要なものであること、社内の規定に則ったものであることなどを上長や役職者が確認し、適切だと判断すれば承認を、問題があれば差戻しを行います。
④経理担当者による確認
上長や役職者の承認を経て提出された申請内容を経理担当者が確認し、承認/差戻しを行います。
⑤精算
内容に問題がないと認められた経費について、費用を立て替えた社員への払い戻しを行います。精算には、現金の手渡しや銀行振込、給与と合算しての支払いなどの方法があります。
経費管理の必要性
経費管理を正しく行うことは、
1.企業の資金・財産を守ること
2.正確な経営分析
3.資金需要の予測
に役立ちます。
1.企業の資金・財産を守ること
経費の用途や金額を正しく把握し「本当に必要な支出かどうか」を見極めることは、ムダを削減して企業の大切な資金を守るために不可欠です。
また経費管理は、業務に関係のない物品・サービスの購入や経費の水増しといった不正利用に気がついて正すこと、これらを未然に防ぐことの助けにもなります。
2.正確な経営分析
経費を正しく把握することは、「この期間にどれだけの利益が出たのか」「売上と経費のバランスはどうか」を正確に捉えることに役立ちます。
経費の金額や発生時期が正しく把握されていないと、ある月に実際よりも大きな利益が出ているように見えたり、反対に実際よりも不振だと判断されたりと、経営状態の把握にずれが生じてしまいかねません。
計上月のずれや金額の過多/過小がない状態で、正しく経費を把握することが重要です。
3.資金需要の予測
経費管理を行うことで「何のために・どれだけの支出が発生したのか」が明らかになり、この実績から「今後何のために・どれだけの費用が必要になりそうか」を予測しやすくなります。
急な支出に見舞われるなど財政状況が不安定な状態になることを防ぎ、企業や事業の運営を計画的に進めていくためにも、経費管理によって資金需要を精度高く予測できる状態を作っておくことが有効だと言えるでしょう。。
経費管理の方法
ここでは主な経費管理の方法を4つピックアップし、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
1.会計ソフト
2.経費精算システム
3.Excel(エクセル)などの表計算ソフト
4.自社開発システム
1.会計ソフト
市販されている会計ソフトを活用して経費を管理する方法です。内容に応じて勘定科目を振り分け、会計ソフト内の仕訳帳に入力すると、企業が管理すべき総勘定元帳(取引を勘定科目ごとに記録する帳簿)や現金出納帳(現金を管理する帳簿)などに自動でデータが転記されます。
【良い点】
・一から経費管理の仕組みを構築することなく、手軽に導入できる
・入力した仕訳から自動で複数の帳簿への転記が行われるため、経理担当者の負担を軽減できる
【留意すべき点】
・データの手入力が必要で入力ミスや入力漏れなどのリスクがある
・ソフトウェアの購入費用、月額費用などのコストがかかる
2.経費精算システム
経費精算や経費管理に特化したサービスやシステムを活用する方法です。スマートフォンやタブレットなどの端末にインストールできるアプリケーションもあります。
【良い点】
・経費申請や承認、精算など煩雑な作業をシステム上で一元管理し、また自動入力などの機能を活用することで、経費管理業務を効率化できる
・自動入力や、申請内容の不備・社内規定への準拠などの自動チェックによって、ミスや不正の発生リスクを回避できる
・アプリを活用することでいつでも・どこでも簡単に申請・承認ができる
【留意すべき点】
・導入費用、月額費用などのコストがかかる
3.Excel(エクセル)などの表計算ソフト
Excelをはじめとした表計算ソフトを活用して仕訳帳を作成し、経費管理を行う方法です。
【良い点】
・すでにExcelを活用している企業の場合、追加のコストや社員への周知の手間をかけずに導入できる
・企業や部署の規定・フローに合わせて自由にフォーマットを作成できる
【留意すべき点】
・仕訳帳の作成、仕訳帳への手入力、帳簿への転記など煩雑な作業が発生する
・データの誤入力/削除、ファイルコピーによる持ち出し・漏洩・紛失などのリスクがあるため、データの信頼性担保やセキュリティに注意が必要となる
4.自社開発システム
自社で経費管理用のシステムを開発して管理を行う方法です。
【良い点】
・自社の経費管理/精算の仕組みや規定に合わせて最適化したシステムを作ることで、スムーズな導入が叶う
・運用する中でユーザーから寄せられる要望に、迅速かつ柔軟に対応できる
【留意すべき点】
・開発・維持管理のために手間とコストがかかる
・システムにまつわる専門知識や技術が必要になり、難易度が高い
経費管理のポイント
経費管理を意味あるものにするために、押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。
1.短時間で行う
2.経理部門の効率化まで考える
1.短時間で行う
社員から申請を受けたら、できるだけ迅速に経費として計上し精算を行うことが重要です。売上の計上に遅れることなく発生月中に経費を計上できれば、経営状況を正しく把握し分析すること、資金需要を正確に予測することに繋がります。
短時間での経費管理を実現するためには、管理の効率化をサポートするシステムを活用する、小口現金の取り扱いを減らし出納業務にかかる時間を削減するなど、さまざまな工夫が考えられます。
2.経理部門の効率化まで考える
経費精算の効率を考えるにあたっては、申請者や承認を行う管理者の作業が注目されやすいものですが、経費管理をリードする経理部門の業務効率化も意識する必要があります。
タイムリーに正しく経営状況を把握し経営判断を行うために、また間違いや漏れなどのミスを減らすためにも、業務プロセス・フローの最適化やシステムの活用に取り組むことが望ましいでしょう。
経費管理の注意点
経営に直結する経費管理を正しく適切に行うために、次のような観点に注意する必要があります。
1.経費申請の内容は正しいか
2.企業の支出として妥当か
3.立替金の払い戻しは迅速に行えているか
4.ミスや不正発生のリスクを抑えられているか
1.経費申請の内容・方法は正しいか
毎月の経費を間違いなく計上するために、経費申請を受けたら「正しい日付 / 金額 / 項目が、社内規定に則った正しい方法で申請されているか」を確認しましょう。
入力ミスや領収書の添付忘れなどを見逃さないようダブルチェックを行うこと、差戻しを防ぐために社内規定の周知や社員とのコミュニケーションを行うことが重要になります。
また自動入力機能や必要書類が足りない場合のアラート機能などを備えたシステムを導入することも、正確な経費管理に有効です。
2.企業の経費として妥当か
申請された経費は、正しさだけでなく “妥当性” の観点でもチェックしましょう。
経費として計上するにあたっての基準は一定である必要があるため、一度経費として計上したものは、今後も経費として認めることになります。そのため、社員からの申請内容を精査し「自社の支出とするのに相応しいか」の判断を都度下すことが重要となります。
経費精算システムには、経費にまつわる社内規定を設定すると、規定に沿わない項目を自動検知してくれる機能を備えたものもあります。一貫した判断をスムーズに行うために、こうしたシステムを活用してみるのもおすすめです。
3.立替金の払い戻しは迅速に行えているか
社員による立て替えが長引くことは、企業に対する社員の信頼を失うことに繋がりかねません。立て替えによる物品やサービスの購入があった場合は、経費申請を受けたらできる限り迅速に精算を行い、“社員からお金を借り入れている” 状態を解消しましょう。
システムを活用して経費管理業務を効率化する、正しく申請が行われてその分精算が素早く進むよう、社員が入力・申請を行いやすい仕組みを構築する、といった工夫が考えられます。
また払い戻しのリードタイムに現状課題がある場合、コーポレートカードを導入して経費管理システムと連携させ、社員による立て替えを不要にすることも有効な選択肢の一つです。
4.ミスや不正発生のリスクを抑えられているか
企業の大切な資金を守り、また正確な経営判断や予測を行うために、ミスや不正を防ぐための工夫を行いましょう。
・紛失や盗難などのリスクがある現金の授受は最小限にする
・フローの見直しなどによって経費管理の効率化を図り、経理担当者の負担を軽減する
・「社内規定や経費申請ルールが守られているか」の判断を人ではなくシステムで行う など
自社に合った経費精算システムを選ぼう
経費管理の方法はさまざまある上、現在では非常に多様なサービスやシステムが登場しています。各サービス、システムによってできることや機能は異なるため、経費精算フロー、社内規定、現状の課題などをふまえて、自社に合ったものを選ぶことが重要です。
SAP Concur
『SAP Concur』は、世界150カ国でおよそ8,600万人に利用される経費・請求書・出張管理クラウドサービスです。
SAP Concurの経費精算システム『Concur Expense』は、次のような多様な機能と特徴で経費管理業務の自動化・効率化とガバナンス強化をサポートします。
1.経費入力の自動化
2.社内規定の設定・自動チェック
3.申請フローのカスタマイズ
4.モバイルアプリによる申請・承認
5.多様な決済手段との連携
6.人事システムや会計システムなどとの連携
7.電子帳簿保存法・インボイス制度対応
8.ユーザーごとのアクセス権限の管理
さらに分析レポート機能『Concur Business Intelligence』を活用することで、蓄積した経費データをもとにした詳細な分析、レポート作成/配信なども可能に。経理部門が経営分析や予測、財務の観点からの提案などによって経営に貢献する後押しとなります。
【SAP Concurについて、詳しくはこちら】
まとめ
経費管理とは、企業や事業の運営を行うにあたって発生した費用を把握・調整すること。大切な資金を守り、また正確な経営分析や資金需要の予測によって経理部門が経営に貢献するために、欠かせない業務です。
「経費申請や経費管理におけるミスを減らし、リードタイムを短縮したい」
「社内規定が守られていない」
「経費申請のための入力作業、申請や承認のための出社・帰社が面倒」
「立て替え払いが社員の負担になっている」
こうした課題をお持ちのお客様は、ぜひ豊富な機能で経費管理業務の自動化・効率化をサポートする『SAP Concur』の活用をご検討ください。