Peppolとは?インボイス制度との関係や仕組み、導入に向けた準備について詳しく解説
今回は、経理業務における生産性向上やコスト削減を後押しするとして注目される「Peppol(ペポル)」について、その概要から具体的な仕組み、導入に向けて必要となる準備まで基礎知識を詳しく解説します。
Peppol(ペポル)とは?
Peppol(Pan European Public Procurement Online)とは、ヨーロッパの公共調達プロセスにおけるオンライン関連の仕様のこと。受発注や請求にまつわる電子文書をネットワークでやりとりするにあたっての、文書仕様やネットワーク、運用ルールなどの規格として定められています。
ヨーロッパの企業が、買い手と簡単に電子的な取引を行えるようにすることを目的として、非営利の国際協会「OpenPEPPOL」によって管理され、現在ヨーロッパ各国をはじめとした30以上の国で採用されています。
Peppol(ペポル)とインボイス制度の関係
「Peppol(ペポル)」とインボイス制度の関係について、詳しく解説します。
インボイス制度とは
そもそもインボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、複数の税率に対応した「仕入税額控除」の方式のこと。
以下の6項目が記載された「インボイス(適格請求書)」を売り手が買い手に対して発行し、両者がこのインボイス(適格請求書)を保存することで、消費税の仕入税額控除が適用されます。
【インボイス(適格請求書)への記載が必要な項目】
1.適格請求書発行事業者の氏名/名称と、登録番号
2.取引年月日
3.取引内容
4.適用税率と、税率ごとの合計額
5.税率ごとの消費税額
6.書類を受け取る事業者の氏名/名称
複数の税率が混在する中で、消費税額が明確に算出され正しく納税が行われるよう設けられた方式で、2023年10月より開始となりました。
電子インボイスとは
電子インボイスとは、インボイス制度下において仕入税額控除の適用を受けるために必要な「インボイス(適格請求書)」を、電子データ化したものを指します。
インボイス(適格請求書)の取り扱いに伴って、必須項目の記載や確認などの新たな負担が買い手と売り手の両者に発生してしまうことへの懸念から、デジタル化によってチェックの手間などを軽減しようと電子インボイスが導入され始めました。
【電子インボイスについて、詳しくはこちら】
Peppol(ペポル)で電子インボイスの標準化・構造化を
電子インボイスの導入は買い手・売り手の負担軽減に繋がると期待されますが、紙の請求書を単に電子化するだけでは、本質的な効率化には繋がりません。
重要なのは、各社が統一されたルールに則って、電子インボイスをやりとりすること。そのために必要となるのが標準仕様「Peppol(ペポル)」なのです。
「Peppol(ペポル)」への準拠はインボイス制度対応の必須要件ではありませんが、各社が同じ仕様に準拠した運用を行うことで、スムーズに請求書のやりとりを行えるようになります。
日本では、2020年末にデジタルインボイス推進協議会(EIPA)が国内向けの電子インボイスの標準仕様を「Peppol(ペポル)」に準拠したものにすることを発表。この仕様に則り標準化・構造化された電子インボイス=「デジタルインボイス」の普及に向けて、取り組みが進められています。
【「Peppol(ペポル)」に準拠したデジタルインボイスを導入するメリットについて、詳しくはこちら】
Peppol(ペポル)ネットワークでのデジタルインボイスのやりとり
「Peppol(ペポル)」に則ったデジタルインボイスのやりとりにおいては、“買い手と売り手の直接の授受を必要としないこと” が特徴です。
インターネット上に構築されたPeppol(ペポル)ネットワーク内には、電子データの送受信の中継地点=「アクセスポイント」が設けられており、やりとりはアクセスポイントを介して次のような流れで行われます。
1. 送り手(C1)が、送り手側のアクセスポイント(C2)を通じてPeppolネットワークに接続する
2. Peppolネットワークを介して、送り手側のアクセスポイント(C2)から受け取り手側のアクセスポイント(C3)へデジタルインボイスが送られる
3. 受け取り手側のアクセスポイント(C3)から受け取り手(C4)のもとにデジタルインボイスが届く
こうした仕組みによって、送り手はPeppol(ペポル)ネットワークに参加しているすべてのユーザーにデータを送信できる、つまり規模の異なる企業間でも、両者が使う会計システムなどが異なっていたとしても、問題なくスムーズに電子インボイスのやりとりができるのです。
Peppolに準拠したデジタルインボイスを導入するメリット
「Peppol(ペポル)」に則ったデジタルインボイスのやりとりを行うと、「請求書の管理や検索が簡単」「テレワークにも対応できる」「証憑の改ざんを防げる」といった電子インボイス導入のメリットに加えて、さらに次のようなメリットが得られます。
1. 経理業務を自動化できる
2. デジタルインボイス取引が簡単になる
3. 海外取引が行いやすくなる
1.経理業務を自動化できる
Peppol(ペポル)に準拠したデジタルインボイスのやりとりを行うことで、仕訳入力や仕入税額控除の計算など、手間のかかる経理業務を自動化できます。
現在提供される経理・会計系システムの多くはこうした業務に対応していますが、取引先のシステムの規格や請求書のフォーマットなどによって、データの取り込みができずに手作業で入力や計算を行わなければいけないケースがあります。
しかしPeppol(ペポル)によって仕様が統一されたデジタルインボイスのやりとりなら、Peppol(ペポル)対応のシステムさえ導入すればすべてのデータを自動で取り込むことができ、仕訳や計算もシステムに任せられるようになるのです。
2.デジタルインボイス取引が簡単になる
Peppol(ペポル)に則ったデジタルインボイスのやりとりにおいては、Peppol(ペポル)ネットワーク内の中継地点を介して電子データが自動で送受信され、買い手と売り手の直接の授受は発生しません。
取引のある企業とシステムの規格や請求書フォーマットを揃える手間をかけることなく、自社で選択したPeppol(ペポル)対応のシステムで簡単にデータのやりとりを行うことができます。
3.海外取引が行いやすくなる
Peppol(ペポル)は国際的な標準仕様のため、この仕様に則るデジタルインボイスを導入しておけば、海外との取引もスムーズに行えます。
Peppol(ペポル)の導入に向けた準備
「Peppol(ペポル)」に準拠したデジタルインボイスのやりとりを行うにあたっては、次のような準備が必要です。
1.Peppol(ペポル)対応システムを選定・確認する
2.「Peppol(ペポル)ID」を取得・収集する
3.デジタルインボイスの保管方法を検討する
1.Peppol(ペポル)対応システムを選定・確認する
「Peppol(ペポル)」に準拠したデジタルインボイスのやりとりを行うには、送り手・受け取り手が利用するシステムがいずれもPeppol(ペポル)対応のものである必要があります。
自社で請求書管理システムやサービスを導入する場合は、「Peppol(ペポル)」に対応しているかを確認した上で選定を行うとともに、取引先の導入状況も確認しておきましょう。
【おすすめのPeppol(ぺポル)対応システムについて、詳しくはこちら】
2.「Peppol(ペポル)ID」を取得・収集する
Peppol(ペポル)ネットワークに接続し、取引する相手から認識してもらうには、識別番号である「Peppol(ペポル)ID」が必要です。
あらかじめデジタル庁認定のサービスプロバイダを介して自社のPeppol(ペポル)IDを取得するとともに、取引先のPeppol(ペポル)IDを確認しておきましょう。
3.デジタルインボイスの保管方法を検討する
Peppolネットワークには、やりとりされるデジタルインボイスのデータを保存する仕組みは設けられていません。デジタルインボイスの保存をサポートする電子帳簿保存法対応のクラウドサービスを導入するなど、保管方法を別途考えておく必要があります。
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まとめ
「Peppol(ペポル)」とは、受発注や請求にまつわる電子文書をネットワークでやりとりするにあたっての、文書仕様やネットワーク、運用ルールなどの規格を定めた国際的な標準仕様のこと。企業がインボイス(適格請求書)の電子データでのやりとりを効率的に行うために、重要な役割を果たします。
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