経理業務は電子化・デジタル化の流れ!メリットや留意点、進め方、おすすめシステムを紹介
働き方の多様化や電子帳簿保存法の改正、バックオフィスにおける業務効率化の推進などを背景に、経理部門における電子化や業務のデジタル化が進められています。
今回は経理部門の電子化・デジタル化について、メリットや留意点、進め方、おすすめのシステムをご紹介します。
経理部門で進む電子化・デジタル化
昨今 経理部門において、紙媒体を電子データに変換する「電子化」が進められています。
ペーパーレス化とも呼ばれるこのような動きは、さらに業務プロセス全体をデジタル技術の活用によって効率化する「デジタル化」の第一歩になり、社員の働き方や生産性にもよい影響を与えるとして期待されています。
電子化に欠かせない「電子帳簿保存法」の知識
電子化が進む背景には、帳簿や書類の電子データ保存について定めた「電子帳簿保存法」があります。この電子帳簿保存法が改正され、帳簿や書類を電子データとして保存するにあたっての要件が緩和されたことが、企業の電子化やデジタル化に向けた取り組みを後押ししているのです。
経理部門において電子化やデジタル化を進めるにあたっても、電子帳簿保存法で定められた
・電子帳簿等保存
・スキャナ保存
・電子取引
の3つの区分にもとづく保存の要件を理解し、このルールに則った運用を行うことが重要です。
【電子帳簿保存法や各要件について、詳しくはこちら】
経理部門でできる電子化・デジタル化
経理部門で行える電子化やデジタル化の取り組みには、次のようなものがあります。
電子化できる帳簿や書類
これまでは紙で発行・管理していた以下のような帳簿や書類は、電子帳簿保存法の要件を満たせば電子データとして取り扱うことができるようになります。
・契約書
・納品書
・請求書や領収書
・経費精算書
・帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳、貸借対照表 他) など
デジタル化できる経理業務
帳簿や書類を電子化した先で、デジタル技術の活用によって、これまで人の手で行っていたさまざまな業務プロセスを自動化・効率化することができます。
・費精算にかかる申請・承認作業
・帳票作成時の、会計ソフトへの転記作業
・受注や売上などの集計業務
・請求書の発行と、入金消し込み業務
・請求書の受領と、支払業務 など
【経費精算システムの導入について、詳しくはこちら】
経理部門で電子化・デジタル化を進めるメリット
経理部門で電子化・デジタル化を進めることのメリットとして、次のようなものが挙げられます。
1.業務負担を軽減できる
2.テレワークを推進できる
3.コスト削減につながる
1.業務負担を軽減できる
電子化によって、紙の書類の印刷や手書きによる作成、封入、発送、ファイリングによる管理などが不要に。さらに業務プロセスのデジタル化によって、手作業でのデータの転記や書類の回覧・押印による承認、目視によるデータの確認といった業務もシステム上で簡単に行えるようになるなど、経理業務の効率化が叶います。
これによって経理担当者の負担は大幅に軽減され、データの分析や経営に対する財務面での提案など、より付加価値の高い業務に専念できるようになります。
2.テレワークを推進できる
紙の書類が電子化され、さらに回覧や押印など出社しなければ対応できないような業務がデジタル化によってなくなることで、経理担当者も時間や場所を問わずシステム上で業務を完結させられるように。経理部門でテレワークを推進する後押しになります。
3.コスト削減につながる
紙の書類や帳簿の印刷、郵送、保管にまつわるコストが不要になる上、業務効率が高まり作業に必要な時間が短縮されることで人件費の削減にもつながるなど、電子化・デジタル化は経理部門におけるコスト最適化にも効果を発揮します。
経理部門で電子化・デジタル化を進めるデメリット
経理部門における電子化・デジタル化はさまざまなメリットをもたらす一方、次のような懸念点もあります。
1.初期費用がかかる
2.データ管理体制を整える必要がある
3.業務フローの見直しが必要になる
1.初期費用がかかる
書類を電子化するためのPCやスキャナをはじめとした機器類の準備、データの保管やその他業務プロセスをデジタル化するにあたってのシステム導入費用など、一定の初期投資が必要です。
2.データ管理体制を整える必要がある
新しい情報管理のルールを定めて周知する、各データへのアクセス権限を管理する、システムを活用する場合はシステムの活用定着に向けたマニュアル作成や研修を行う、といった体制の整備が必要になります。
3.業務フローの見直しが必要になる
システムを導入してデジタル化を行う場合、業務の流れや各社員の動きにも影響が及ぶことから、既存の業務フローを見直して新たにフローを構築し直す必要があります。
経理部門で電子化・デジタル化を進める流れ
経理部門で電子化・デジタル化を進めるにあたっては、次のような段階を踏んで取り組みを進めるのがおすすめです。
1. 電子化・デジタル化する範囲を決める
2. システムの活用を検討する
3. 業務フローを見直す
4. 社内の体制を整える
5. 取引先と連携する
1.電子化・デジタル化する範囲を決める
まずは既存の経理業務のフローを俯瞰し、電子化したい書類やデジタル化すべき業務を洗い出した上で優先順位を設定します。
2.システムの活用を検討する
電子化・デジタル化したい内容とその優先順位をふまえて、システムに求める要件を整理した上で、システム選定を進めます。システムやサービスによって機能の充実度や、他システムとの連携可否、コストなどが異なるため、要件は細かく設定しておくのが望ましいと言えます。
3.業務フローを見直す
システムを選定して電子化・デジタル化する範囲が正式に決まったら、改めて新しいデータ管理方法とシステムの運用を前提とした業務フローを整理します。
4.社内の体制を整える
整理した新たな業務フローをもとに、マニュアルの整備や新しい運用にまつわるルール策定を行い、電子化・デジタル化の背景や変更内容と合わせて社員に周知を行って社内の体制を整えます。
5.取引先と連携する
経理部門が扱う書類や業務は取引先と密に関わるものが多いため、社内の体制を整えるとともに、取引先との連携を行うことも重要です。どの取引や書類が電子化の対象になるのか、それに伴って運用がどのように変わるのかを伝えておく必要があります。
システムを活用して経理部門の電子化・デジタル化を
電子化・デジタル化によって経理部門における業務効率を高めるために、おすすめのシステムを対象となる業務ごとにご紹介します。
経費精算業務
・経費精算・管理クラウドサービス『Concur Expense』
『Concur Expense』は、経費精算・管理業務のクラウド上での一元管理を実現するサービスです。モバイルアプリで経費申請や承認依頼、申請書と証憑の確認、承認/差戻しを完結させられる上、経費データの自動入力や社内規定の自動チェックなどの豊富な機能も備えており、社員や経理担当者の負担を大幅に軽減できます。
【『Concur Expense』について、詳しくはこちら】
請求書処理業務
・請求書管理クラウドサービス『Concur Invoice』
『Concur Invoice』は、請求書にもとづく支払依頼や確認、承認/差戻し、支払処理といった一連のプロセスを自動化できるクラウドサービスです。経理担当者の業務負荷を軽減するだけでなく、社内規定や監査ルールにもとづく自動チェックによるガバナンス強化、請求書データと発注情報、取引先情報などの連携による適切な支払予定の管理にも貢献します。
【『Concur Invoice』について、詳しくはこちら】
・AIクラウドサービス『Remota』
『Remota』は、証憑の読み取りや仕訳をはじめとする各種作業に特化した単機能AIエンジン『Robota』シリーズを組み合わせ、さらに付加機能を組み込んだSaaS型プラットフォームです。起票から仕訳、確認に至るまで請求書支払にまつわる一連の流れの自動化を実現します。
『Remota』上の確定データは、ボタンをクリックするだけで『Concur Invoice』への連携が可能。手入力の手間をなくし、不足事項を入力するだけでスムーズに支払依頼や承認が行えるようになります。
【『Remota』について、詳しくはこちら】
検収照合業務
・経理業務特化AIエンジン『Robota』× RPA
経理業務に特化したAIエンジン『Robota』とRPAを活用することで、検収書や売上/出荷明細などの書類に記載された情報の読み取り・テキストデータ化からデータ照合までを自動化できます。目視による照合の負担を軽減し、ミスや不正を回避しながら迅速で正確な検収照合が行えるようになります。
その他
・デジタルアダプション プラットフォーム『WalkMe』
『WalkMe』は、電子化・デジタル化を目的として導入したさまざまなシステムやWebサービスを、すべてのユーザーが意図された通りに使いこなせるように後押しするプラットフォームです。操作ガイド機能や入力制御機能などでユーザーの操作をサポートするとともに、システムの定着スコア可視化機能によって、システム運用者やIT部門による管理もサポートします。
【『WalkMe』について、詳しくはこちら】
まとめ
経理部門において、紙の書類をデータ化する「電子化」や、さらに業務プロセス全体をデジタル技術の活用によって効率化する「デジタル化」が進められています。
経理業務の効率化に課題をお持ちのお客様、経理部門の電子化・デジタル化推進に向けてシステム導入を検討されているお客様は、ぜひNTTデータ・スマートソーシングまでご相談ください。
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