経費精算「すべてロボットに任せる」時代に

ガバナンス強化も期待できるAI不正検知とは

バックオフィス業務の効率化は、企業が抱える課題の1つ。 その解決方法として、活用する企業が急増しているのが、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)だ。 BPOはコスト削減のイメージが強いが、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がもたらす自動化により、新たな潮流が生まれつつある。 とりわけ経費精算業務は、2020年10月の改正電子帳簿保存法の施行により、単なる効率化にとどまらない、働き方改革やガバナンス強化につながる動きも出てきているという。

コロナで顕在化したバックオフィス業務の課題

NTTデータ・スマートソーシング
デジタルトランスフォーメーション事業本部長
林麻由美氏

   新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワークを大きく推進させた。 一方、経理などのバックオフィスでは、請求書や領収書の確認や押印などで出社を余儀なくされた人も多かったのではないだろうか。 国内の複数拠点でBPOビジネスを展開してきたNTTデータ・スマートソーシング デジタルトランスフォーメーション事業本部長の林麻由美氏も、そのことを実感したと語る。

   「弊社もほとんどの社員がテレワークに移行しました。 しかしバックオフィス業務に携わる社員は、紙の書類に押印したり、郵送したりといった作業のためだけに出社する人もいました。 バックオフィス業務のテレワーク対応が普及しづらいことが顕在化したと感じています」

   それでも、基幹システムがクラウド化していればまだいい。 週に1回、もしくは月末月初だけ出社すれば対応できるからだ。社外からシステムにアクセスできない場合は、毎日出社せざるを得ない。

   「レガシーシステムの刷新を行い、場所や時間に縛られる状態を変えなければ、本当の意味でのバックオフィス業務の効率化、働き方改革はできないと感じました」(林氏)

   さらに、経理関係では2020年10月に大きな変化がある。改正電子帳簿保存法が施行され、デジタル明細があれば紙の領収書が不要となるのだ。

   「当然、ペーパーレス化がさらに視診されることが予想されます。同時にクラウド化への移行も進み、OCR技術などの活用によって入力業務も省力化されるでしょう。 弊社としても、単なるシステムの導入支援や人手を中心としたアウトソーシングにとどまらず、AIやRPAといった自動化を進めることで、 定常業務は機械に任せ、非定型業務は人で対応するハイブリッドなBPOサービスを提供していきたいと考えています」(林氏)

アジア初「SAP Concur」のBPOパートナーとして

   このように同社が力強い宣言をする背景には、確かな実績の積み上げがある。 09年からバックオフィス業務を中心としたBPOビジネスを展開し、15年には出張・経費管理クラウドベンダーであるコンカーと事業提携を締結。 アジア初のBPOパートナーとして、企業の出張・経費精算に関する業務のフルアウトソーシングを可能にした。 コンカーのBPO、インプリメンテーションパートナーとしてエンタープライズ企業を中心に導入支援を行い、取引社数は100社以上に上る。

   「『SAP Concur』の導入から、人事・会計をはじめとした基幹システムとのデータ連携、 交通系ICカードリーダーをはじめとした各種オプションの販売からサポートまで、ワンストップでご提供しています」(林氏)

NTTデータ・スマートソーシング SAP Concurサービスの強み

導入からさらなる業務効率化の検討まで、ワンストップで対応している

   こうした技術力のみならず、例えば「SAP Concur」の操作に関するヘルプデスクや監査サービスの運用を行うなど、 顧客の満足度に関わる業務を展開しているのも興味深い。

   「一時、コスト削減の観点からBPOセンターを海外に置いていた企業は少なくありませんでした。 しかし、日本企業には効率だけでなく、“かゆいところに手が届く”サービスを求める傾向があります。 カスタマーサクセスを重視して国内に再着目した結果、弊社にご依頼いただくケースが増えてきました」(林氏)

   ちなみに今年は、導入難易度の高い数々の大型プロジェクトを成功に導いたことが評価され、「インプリメンテーションパートナーアワード」を受賞している。 もともとエンタープライズ向けの案件を多く手がけている同社だからこそ、大型案件においてもこまやかな対応が可能になるのだろう。

経費精算の事後チェックを不要にする「Fraud Checker」

   随時新たなサービスを導入している点にも注目したい。当初、BPOサービス「e-ZERO(イーゼロ)」は、 「SAP Concur」と連携した領収書管理サービスとして位置づけられていた。 しかし働き方改革などの流れを受け、領収書の電子化や入力支援、審査業務の代行とサービスラインナップを追加。 20年7月に新たに追加されたのが、「Fraud Checker(フラウドチェッカー)」だ。

e-ZERO/サービスプラットフォーム

BPOサービス「e-ZERO(イーゼロ)」の中の1つ、「Fraud Checker」

   「『Fraud Checker』はAI(※)を活用した不正検知サービスです。 自動で不正経費の有無を判定し、疑わしき申請をレポーティングします。 経費申請で、カラ出張や会議費・交際費の不適切利用といった悪意のある不正はほんのわずか。 ほとんどは、ちょっとした勘違いで規定と違った処理をしてしまうケアレスミスです。 しかし、そうした悪意なきミスこそがバックオフィス業務の負担を増やしている実態があります」

(※)AIエンジンは、Miletos株式会社が提供するAI経費精査「SAPPHIRE」を利用

NTTデータ・スマートソーシング
デジタルトランスフォーメーション事業本部
ワークスタイルイノベーション推進部
セールス担当
阿部宏之氏

   そう説明するのは、同社のデジタルトランスフォーメーション事業本部 ワークスタイルイノベーション推進部 セールス担当の阿部宏之氏。 こうした不正検知は「土日・祝日の利用申請はないか」「出勤日以外の経費利用はないか」「特定顧客の多頻度申請はないか」 「会議費で参加者を水増ししていないか」などチェック項目が複雑かつ多岐にわたる。

   「そこで『Fraud Checker』は、『SAP Concur』の経費精算データに加え、勤怠データやビルの入退館データを統合し、多角的に分析・判定できる設計にしています。 『SAP Concur』には、規定どおり精算されているかどうかを判別する機能が標準装備されていますが、それをさらに深く掘り下げました」(阿部氏)

   このサービスによって期待できるのは、不正経費の検出だけではない。まず、最終的に人がチェックしなければならないデータ量を圧倒的に減らすことが可能だ。 さらに、不正経費の申請をした従業員の特定はAIが行うため、角も立たない。ストレスなく業務効率化とガバナンス強化が実現できるというわけだ。

   なお、この「Fraud Checker」については、20年9月に開催予定の「SAP Concur Fusion Exchange 2020 Japan」のセッションでも発表する予定だという。

   「『Fraud Checker』は、ポータルサイトにアクセスするだけでご利用いただける、ユーザビリティーの高いサービスです。 従来のような人手を中心としたBPOサービスだけではなく、AIやRPAといった先端テクノロジーを駆使し、より高次なレベルのBPOサービスをご提示する予定ですので、ぜひご期待ください」(林氏)

   単なる経費精算システムではなく、バックオフィス業務を極小化してより生産性の高い業務に集中できる――そんな理想的なビジネス環境は、もう実現間近なのかもしれない。

(引用:2020年7月31日掲載 東洋経済ONLINE 経費精算「すべてロボットに任せる」時代に)

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『Fraud Checker』

Fraud Checker

 

SAP Concurの経費精算データを、勤怠情報、ビルの入退館データ、独自データベースが保有する飲食店の情報などをAIエンジンが判定することで、経費不正と疑わしき申請をポータルサイト経由でレポーティングするサービス。 出張・経費管理業務のさらなる自動化の実現と、バックオフィス業務の効率化を実現いたします。

経費精算における
不正リスク管理の実態調査と考察

経費精算における不正リスク管理の実態調査と考察

 

経費精算不正は、虚偽の理由や内容で経費精算を行い、不正実行者が利益を得る手口の不正であり、日本CFO協会の調査の結果、実に6割を超える人が実際に不正を見聞きしたことがあると回答しました。
本資料では、経費精算不正のリスクについての調査結果と、一般社団法人CFO協会主任研究員である辻氏が調査結果をもとに解説とAI活用の可能性を紹介いたします。

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